韓国のソウル中央地裁が元慰安婦12人の訴えを認めて日本政府に賠償を求めている件について、日本政府は国際司法裁判所(ICJ)へ提訴する検討に入っていることが判明した。
また茂木敏充外務大臣は8日、韓国の康京和(カンギョンファ)外相に電話で「判決は極めて遺憾であり断じて受け入れられない」と抗議している。
国際司法裁判所は国家間の紛争を解決するための機関で、国際法に基づく裁判が行われる。
<独自>日本、国際司法裁へ提訴検討 韓国の慰安婦判決
日本政府が、韓国のソウル中央地裁が元慰安婦らの訴えを認め日本側に損害賠償の支払いを命じたことを受け、国際司法裁判所(ICJ)への提訴を検討していることが分かった。韓国の裁判権に服するのを避けるため控訴はしない一方、国際司法の場で韓国の不当性を明らかにする考えだ。政府関係者が8日、明らかにした。
(中略)
ICJは領土問題など国家間の紛争を国際法に基づいて解決するための国連機関。裁判の実施は紛争当事国間の合意を原則とするため、日本が訴えても韓国側が拒否する可能性もある。
引用:https://www.sankei.com/politics/news/210108/plt2101080054-n1.html

茂木外相も韓国外相に抗議「判決は受け入れられない」
茂木氏は電話会談で「国際法上の『主権免除』の原則を否定し、原告の訴えを認める判決は、極めて遺憾であり断じて受け入れられない」と強調。元慰安婦を含めた日韓請求権問題は解決済みであるとして、国際法違反の是正に向けた措置を早急に講じるよう康氏に迫った。
また、「日韓は旧朝鮮半島出身労働者問題などで非常に深刻な関係にあるが、今回の判決で事態は急速に悪化する」とも伝えた。康氏は韓国側の立場を説明した上で「冷静な対応が必要だ」と応じた。
会談後、茂木氏はオンライン記者会見で「国際法上も二国間関係上も到底考えられない異常な事態だ」と指摘。引き続き康氏に是正措置を促していく意向だ。日本政府は韓国側の対応を見極めつつ、ICJへの提訴も検討している。
引用:https://www.sankei.com/world/news/210109/wor2101090021-n1.html
産経新聞の記事にもあるが、過去にイタリア最高裁でも似た事例が存在する。第二次世界大戦中にドイツで強制労働をさせられたと訴えたイタリア人の主張が認められ、イタリアはドイツ政府に賠償命令を下している。
結果としては、ドイツが「主権免除」の原則に基づくイタリアの国際慣習法の違反だと、国際司法裁判所に提訴して勝訴した。主権国家が他国の裁判に服さないのは世界的に常識である。
茂木外相の会見は中南米外遊の報告ではあったが、最後に韓国の慰安婦判決に言及するほど看過できない事案だと認識していることは間違いない。「2015年の日韓合意において『最終的かつ不可逆的な解決』が日韓両政府の間で確認をされている」と、明確に批判した。
遺憾砲とはいえ、韓国外相に直接抗議したことは国際世論への強いメッセージとなる。今こそ文在寅政権は「天才外交」を発揮する時だろう。
韓国は国際司法裁判所(ICJ)と向き合えるのか
韓国メディアを一通り拝見すると、日本政府の抗議姿勢に「重く受け止めている」との印象を抱いているようだ。また、崔鳳泰弁護士は「今回の判決をきっかけに日本政府を交渉テーブルに引き込むことが重要だ」と強調している。
<慰安婦被害者賠償判決>日本政府の資産で賠償は…「大使館不可侵、差し押さえ、売却できず」
中央日報(2021.01.09)
現実的に、自称徴用工訴訟と同じく賠償に応じない際の資産現金化は困難を極めるだろう。執行手続きの公示送達が行われても、日本政府は当然拒否する。日本政府の資産(大使館施設および財産)は、国際条約上でも差し押さえはできない。
外交関係に関するウィーン条約
第二十二条 1 使節団の公館は、不可侵とする。接受国の官吏は、使節団の長が同意した場合を除くほか、公館に立ち入ることができない。
2 接受国は、侵入又は損壊に対し使節団の公館を保護するため及び公館の安寧の妨害又は公館の威厳の侵害を防止するため適当なすべての措置を執る特別の責務を有する。
3 使節団の公館、公館内にある用具類その他の財産及び使節団の輸送手段は、捜索、徴発、差押え又は強制執行を免除される。
引用:https://www1.doshisha.ac.jp/~karai/intlaw/docs/diplomat.htm
おそらく韓国政府としては日本側が何とか折れてくれる姿勢に期待しているのかもしれない。自称徴用工訴訟でも「あとで払うから先に賠償を」などと提案するくらい、韓国政府は知性が高い。日本政府からの歩み寄りが唯一”頼みの綱”だろう。

「主権免除を認めない最初の事例」として、国際法違反であることを全く恥じない偉大なる最先端国家の大韓民国は、日本政府との話し合いを望んでいるのだろうか?
いや、誇り高き韓国はそんなヤワな姿勢は取らないと信じたい。過去に竹島関連で何度もICJへの付託を拒否し続けてきた韓国も、今回こそはICJの裁判に参加していただこう。これまで国際社会の常識を凌駕してきた偉大なる韓国ならば、必ず最善策を練ってくれるはず。
菅首相、加藤官房長官、茂木外相らの毅然とした態度に、韓国がどのような対応を見せるのか注目だ。