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内田樹氏「なんでアメリカの有権者はトランプに4年間国政を委ねたの?」

超一流思想家で京都精華大学人文学部の客員教授も務める内田樹氏はアメリカ大統領選挙について、不正を訴えるトランプ大統領を「悪あがき」と批判している。

そして「それにしても、なぜこのような人物に米国の有権者は4年間国政を委ねたのだろう」と、トランプ氏に投票した支持者に対して疑問を抱いている。

内田樹「トランプ敗北は米民主制が機能していることの証明かもしれない」

 米大統領選が終わった。トランプ大統領は開票の不正を訴え、負けを認めずに「よい敗者」になれずにいる。これまでトランプを支持してきた右派メディアや共和党議員からも見放され始めた。「悪あがき」という他ない。ホワイトハウスから出たがらないのは私人となった場合に刑事訴追されるリスクを恐れているのではないのか。そう思われても不思議はないほど、彼は「李下に冠を正し、瓜田に履を納れ」てきた。
 それにしても、なぜこのような人物に米国の有権者は4年間国政を委ねたのだろう。
 フランスの思想家トクヴィルは自著『アメリカのデモクラシー』で、米国の選挙制度には不適切な人物を指導者に選ぶリスクがあることを指摘していた。アンドリュー・ジャクソン大統領についてトクヴィルはこんな評価を下した。「ジャクソン将軍は、米国の人々が統領としていただくべく2度選んだ人物である。彼の全経歴には、自由な人民を治めるために必要な資質を証明するものは何もない」。では、米国市民はなぜ凡庸な人物を選んだのか。それは「戦争のない国でしか長く語り草になることはない」ニューオリンズでのささやかな「軍功」のゆえだった。ただし、トクヴィルが「統領としていただくべき」軍人の範としたのはナポレオンである。それと比べてジャクソンの資質を論じるのは気の毒だ。
 その上で、資質に問題のある人物を大統領に選ぶリスクを含めて米国の民主制は機能しているとトクヴィルは考えた。米国民主制の際立った特徴は、為政者は徳性と能力において他国に劣るが、国民は他国より開明され思慮深いという点にある。つまり、米国の民主制は統治者と国民の距離が近く、能力においてそれほど変わらないように制度設計されているのである。
 だから、為政者は国民の意に沿わない政策をとることができず、長く政権の座にあることもできない。国民の意に反する政策を強行できるほどに賢く強い指導者を持ち得ないことこそが米国民主制の手柄なのだという不思議な褒め方をトクヴィルはした。それから200年経ったが、米国の民主制については、トクヴィルの卓見が今も通用するのかもしれない。
引用:https://dot.asahi.com/aera/2020111700007.html

トランプは「不適切」なアメリカ大統領?

内田樹氏はフランスの思想家トクヴィルの自著『アメリカのデモクラシー』を持ち出し、4年前にトランプ大統領へ投票したアメリカの有権者に疑問を感じているようだ。さすがフランス現代思想を専門としているだけある。

何を以ってトランプ氏を「資質に問題のある人物」とするのかは不明だが、自分の知性を信じて疑わないインテリ左翼や自称リベラルの考察は非常に興味深い。自分の意見と合わない人は「反知性」「無知性」「資質に問題あり」などと批判するのが、インテリ左翼や自称リベラルの反論手段だ。

確かにバイデン氏の資質は素晴らしい。対人距離がとても近く、どんな相手にでもフレンドリーに接する優しいおじいさんだ。特に女性や少女には頭や顔に鼻を近づけるなど、人当たりがいい性格だ。

どうやらアメリカ大統領選挙に興味津々な日本人は右派や保守だけではないようだ。反トランプが多い左翼や自称リベラル界隈も、どうにかしてバイデン氏を勝たせたい模様。トランプ氏に投票したアメリカ有権者を貶めてでも。

「資質に問題のある人物」に投票した「アメリカ有権者」を「まともな有権者」と受け入れたくない日本の左翼や自称リベラル。本日も相変わらず高い知性と優れた品格を発揮してくれたようだ。

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