政治

北極研究船の建造に本格着手、政府が335億円投入→調査研究進める中国を牽制か

産経新聞によると12日、政府が来年度から北極海での観測活動を進めるために「砕氷機能を持つ研究船」の建造に着手することが判明した。

海上交通路の重要性が増す北極海航路で、近年は調査研究で存在感を示している中国を牽制する狙いがある。

令和3年度予算案に4億数千万円を計上し、5年間で総額335億円を投じるそうだ。

北極研究船の建造に本格着手 航路で存在感高める中国を牽制 政府335億円投入

 政府が建造する北極研究船は海中ドローンでの海氷観測や音波探査など最新機器を搭載。データ収集により海氷の分布や動きを予測し、海氷域航行の安全確保にも生かす。
 政府は平成29年度予算に研究船の調査費を計上し、今年度予算に基本設計費約3億円を盛り込んでいた。文部科学省は来年度概算要求で初年度建造費として8億2000万円を計上したが、新型コロナウイルスの感染拡大により財政状況が悪化し、不透明となっていた。
 政府が逼迫する財政下でも北極海での活動強化に乗り出すのは、東アジアと欧州を最短でつなぐ北極海航路の重要性が増しているからだ。温暖化による海水温上昇で海氷は減少し、ロシア側北東航路は88日間、海氷なく航行可能となった。
 ロシアは航路上での資源開発に力を入れ、中国など各国の資本が参入。中国は2012年に自国船で北極点付近を航行し、存在感を強めている。政府は来年5月に東京で開催される海域関係国での科学大臣会合を前に砕氷船建造に着手する方針で、中国の影響力拡大に楔を打ち込みたい意図がある。
 東大先端科学技術研究センターの小泉悠特任助教(政治学)は「ロシアには航路を沿岸国で管理したい意図があり、中国は自身を『準沿岸国』に位置付ける。砕氷船新造は資源獲得というよりシーレーンの確保をにらんだ動きといえる」と話した。
引用:https://www.sankei.com/politics/news/201213/plt2012130001-n1.html

「氷上のシルクロード」構想の脅威

北極域研究船の建造着手については、北極環境研究コンソーシアムから「北極研究及び海洋研究の進展のため」としてて砕氷研究船を保有・運用することを文科省に要望していた。

この要望は2018年12月から提出されている。そして今年10月には利用計画が、先月30日には再度要望書が提出されていた。2年前から検討され、その後もなかなか着手できなかった計画である。

「北極域研究船」早期建造着手の要望書
北極環境研究コンソーシアム

北極圏国以外の国である日本は、北極評議会のオブザーバー資格を有している。同時に中国も資格を保有し、1999年から調査船を北極海に派遣するなど調査研究を先行中だ。

特に注目されたのが2015年に中国海軍艦艇5隻がベーリング海を航行している。中国海軍が本格的に北極海を進出する狙いとの関連性もあり、防衛省は警戒心を強めていた。

「氷上のシルクロード」で北極圏国との経済協力や北極海の資源を狙うと見られる中国の動き。あくまで今回は文科省の管轄で研究という観点だが、安全保障の観点からも牽制を強める流れになるかもしれない。

今回のように停滞していた計画が実行されることで、また菅内閣の功績となってしまうのか。内閣支持率が下がったとはいえ、菅内閣の実行力は恐ろしい限りだ。支持率で負けまくっている誇り高き野党の頑張りにも注目しよう。

《参考》「氷上のシルクロード」 中国が北極海航路に着手(18/01/27)

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