アフリカを歴訪した茂木敏充外相は13日、自身のTwitterで外相会談の成果をツイートした。
就任以来初となるアフリカ訪問では、二国間関係の強化に「自由で開かれたインド太平洋」構想、そしてコロナ対策の協力強化などを協議している。
アフリカでは中国への経済依存が高まる中、日本の外交が防止策となるのか。
これから、チュニジア、モザンビーク、南アフリカ、モーリシャスを訪問します。外務大臣就任後、初のアフリカ訪問です。各国で、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた連携、ポスト・コロナを見据えたビジネス関係の強化、TICAD8に向けた連携等について、突っ込んだ議論を行ってきます。
— 茂木敏充 (@moteging) December 8, 2020
茂木外相アフリカ訪問、民間投資促進で中国意識
茂木敏充外相は13日、アフリカ4カ国訪問を終え帰国の途につく。茂木氏は各国でビジネス環境の整備を訴えた。アフリカには中国政府主導の経済支援で過剰債務を抱える国もある。民間企業の投資による経済の底上げを後押しし、各国が中国に依存しすぎるのを防ぐ狙いがある。
茂木氏がアフリカ大陸を訪れるのは2019年9月に外相に就任して初めてだ。
引用:https://www.nikkei.com/article/DGXZQODE1189Z0R11C20A2000000
《参考》茂木外務大臣会見(令和2年12月8日)
茂木大臣の外遊の狙い
【朝日新聞 佐藤記者】大臣、この後、アフリカ訪問に出発されますけれども、これまで東南アジア、欧州と続けてこられたこれまでの外遊と、今度のアフリカ、それを貫く全体的な戦略・狙いについて、教えていただければと思います。
【茂木外務大臣】はい。今日は3次元方程式でないので、多分お答えできるのではないかなと思いますけれど。私(大臣)の外遊については、国際情勢であったりとか、各国の新型コロナの感染状況等も見ながら、そのタイミングであったり、訪問先、総合的に判断して決定をしているところであります。
まず、こういったコロナ禍にあっても、相手国を訪問すること、そして直接会談を行うこと、これは限られた時間でのテレビ会議であったりとか、電話会談とは違って、より時間をかけて突っ込んで意見交換を行うことができて、私(大臣)のカウンターパート、外務大臣はもちろんでありますが、政府首脳を含みます直接のカウンターパート以外の要人とも意見交換を行う機会も持てるという形で、二国間で信頼関係を一層深め、また国際情勢・地域情勢についても認識を共有するということで、非常に重要な機会だと、こんなふうに思っております。
そういった考え方から、8月以降、英国から始まりまして、欧州、東南アジア、中東等を訪問して、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた連携、そしてコロナ対策での協力、更にはポスト・コロナの国際秩序等について意見交換を行ってきましたが、今回、臨時国会が閉会した機会に、外務大臣就任以来、まだ訪問していないアフリカを訪問して、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた連携であったり、ポスト・コロナを見据えたビジネス関係の強化、そして再来年にはTICAD8が予定されておりまして、これに向けた連携を図ることとしたところであります。
チュニジア、次回のTICAD8の議長国でありまして、また南アフリカ、モザンビーク、モーリシャス、これは「自由で開かれたインド太平洋」、これを世界地図で見ますと、一番西側に位置する地点ということになるわけでありまして、古く遡ってみると、1586年、天正の遣欧使節団、ローマ教皇拝謁の旅から回って日本に戻る途中、風待ちのために寄ったのがモザンビークというわけでありまして、モザンビークからまさにインド洋、太平洋を渡って日本に戻ってきた、こういう国であります。
こういった地域でありまして、これらの国々との間で、二国間関係であったりとか、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、様々な議論を行いたいと考えております。有意義な訪問にしたいと思っております。
引用:https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/kaiken/kaiken22_000010.html#topic2
「自由で開かれたインド太平洋」、中国への依存を防ぐ?
海上貿易で栄えたカルタゴは、ハンニバルに率いられ、古代ローマ帝国と争い、新たな秩序構築に一役買いました。その流れを汲むチュニジアと、自由で開かれた秩序の重要性を確認するとともに、二国間関係の強化や2022年にチュニジアで開催されるTICAD8に向けて連携することを確認しました。 pic.twitter.com/mBbnnAG06Z
— 茂木敏充 (@moteging) December 9, 2020
先程、ニュシ大統領を表敬しました。ここモザンビークは、天正遣欧使節団が上陸した地であり、織田信長の黒人従者・弥助の出身国とも言われています。車中から見た首都マプトは、元宗主国ポルトガルが残した大航海時代を彷彿とさせる建築物が特徴的で、町中は活気に溢れています。明日は外相会談です。 pic.twitter.com/lsihuF1w2H
— 茂木敏充 (@moteging) December 10, 2020
南アフリカでは、パンドール外相と会談し、ビジネス促進や「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた連携等で一致しました。出国前にはラマポーザ大統領からの電話を受け、歓迎の言葉を頂くとともに、様々な分野での両国間の連携を確認しました。今、最後の訪問国モーリシャスに向かっています。 pic.twitter.com/qPlXXAj03a
— 茂木敏充 (@moteging) December 12, 2020
TICAD8(第8回アフリカ開発会議)の議長国であるチュニジアではナフティ国務長官と会談、モザンビークではニュシ大統領を表敬、そして南アフリカではパンドール外相と会談している。モーリシャスに関しては重油流出事故への支援を表明し、原状回復や経済支援も打ち出す。
経済連携や新型コロナ対策の協力などを、各国の外相や首脳と確認した茂木外相のアフリカ訪問。特に「自由で開かれたインド太平洋」の実現で前向きな連携が会談で確認できたことは大きい。菅首相もバイデン氏との電話会談で「自由で開かれたインド太平洋」を主張するなど、安倍前首相の功績である構想が着実に広がりを見せている。
中国依存が進んでいたアフリカでどのような展開となっていくのか。そして昨年、南アフリカ共和国の大統領と「一帯一路」構想の連携を確認した習近平主席は、どんな思いで報道を受け止めているのか。
例えばもし仮に、日本が南アフリカと先に「自由で開かれたインド太平洋」で連携を確認した後、しばらくして中国が「一帯一路」構想で同国と連携確認した場合、日本政府や国民は明らかに嫌悪感を示すだろう。茂木外相がやったことは、そういうことである。
王毅外相と”笑顔”会談かと思いきや、各国との連携で着実に中国を牽制。偉大なる独裁国家・中国様を嘲笑うかのような、したたかな外交を展開する茂木外相は看過できない。今後も監視を続けよう。