政治

【日本学術会議の任命拒否問題】憲法第6条「天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する」と同じ?

日本学術会議の新たな会員の選考に6人の学者が任命拒否された件について、「第六条 天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する」と持ち出して批判する声が増えている。

天皇陛下も内閣総理大臣を任命する際、陛下の裁量で拒否することがないのと同じ、内閣の裁量で推薦された会員の任命を拒否してはいけない。

「〜に基いて〇〇が任命する」という構図が同じという主張だ。

「日本学術会議の会員任命」は「天皇の内閣総理大臣任命」と同じ

「この政権、とんでもないところに手を出してきた」 学術会議任命見送られた松宮教授

「任命拒否できる権限」は間違い

―官房長官会見では学問の自由については「法律上、内閣総理大臣の所轄であり、会員の人事を通じて一定の監督権を行使するのは法律上可能。その範囲内で行っているので、ただちに学問の自由の侵害にはつながらない」としている。

学問を監督しようと言っているが、それが自由の侵害ではないか。もう一つ言うと、ほとんど同じ構造をもっている条文が憲法6条1項にある。天皇の国事行為だ。「天皇は、国会の指名に基づいて、内閣総理大臣を任命する」とある。日本学術会議法では「学術会議の推薦に基づいて内閣総理大臣が任命する」。主語と述語は入れ替わるが、同じ構造だ。ということは官房長官の言い方だと、国会が指名した人物について天皇が「この者は駄目だから任命しない」と言えることになる。同じ理屈だ。つまり任命権があることを、「任命が拒否できる権限もある」というふうに思うのは間違いなのだ。

引用:https://this.kiji.is/684364629570634849

任命拒否された6人のうちの1人、立命館大学大学院法務研究科の松宮孝明教授も、「憲法6条1項と同じ構造だ」と語っている。

日本国憲法 第一章 天皇
第六条 天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。

憲法における「基づく」と「任命する」を、日本学術会議法にも適用して任命拒否を批判している。左翼を中心に素晴らしい論理が展開されている。

内閣総理大臣は国会議員から内閣総理大臣指名選挙(首班指名選挙)で選出され、その後に天皇が任命を行う。

一方で日本学術会議の会員及び連携会員は、現時点での会員や連携会員が候補者を推薦する。推薦された候補者を総理大臣が任命を行う。(日本学術会議会則 第四章 会員及び連携会員の選考等 第八条より)

構図としてはどちらも同じに見えるため、左翼の目の付け所には感服する。憲法を持ち出して日本学術会議法における菅首相の違法性を指摘するとは。さすがだ。

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「内閣総理大臣の任命プロセス」と「日本学術会議会員の任命プロセス」

内閣総理大臣は「国会議員」である。参議院・衆議院どちらの国会議員でも総理大臣になれるが、現在まで衆議院議員が内閣総理大臣となっている。

そして首班指名選挙で選出された衆議院議員が内閣総理大臣になる。必然的に与党のトップが選ばれるため、総理大臣になるためには総選挙で多数派となり、かつ与党のトップにならなければいけない。

議院内閣制とはいえ、総選挙で選ばれた政党のトップが首相になる。そして選挙で選ばれた国会議員による指名を受けているのだから、天皇陛下が任命を拒否できるわけがない。

また憲法第四条には「天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない」と決められている。

憲法第六条「天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する」の憲法解釈としては、憲法第四条との整合性が裏付けとなるのだ。

では、日本学術会議のプロセスはどうだろうか。

先述の通り、次期会員候補者は今の会員が推薦する。国民によって選ばれた学者ではない。選挙制から推薦制に変更され、憲法第6条と同列に扱うことが本当に適切なのだろうか。

内閣総理大臣は”指名”、日本学術会議の会員は”推薦”。日本学術会議は内閣総理大臣の所轄であり、さすがに指名と推薦を混同する論理は思い付かなかった。

推薦制に変更されたがために任命責任が発生するのであれば、そもそも「形式的」が正しい姿なのかという疑問もあるかもしれない。

もちろん、今回の任命拒否について正当性を訴えるのは当然だ。これまでは形式的な任命が慣例であり、日本学術会議は政府から独立した「特別の期間」のはず。政府の意向で会員任命の可否を決めていいのか、議論されるべきだ。

しかし、事の重大性をアピールするために「憲法論」を持ち出し、「憲法第6条と同じ形」と主張する左翼のロジックは本当に素晴らしい。

菅首相の判断が日本学術会議法ではなく、なぜか憲法を持ち出して批判する辺りはさすがだ。左翼の論理はぜひ参考にするべきだろう。

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