「情報の総合デパート」と自称する一流タブロイド紙の日刊ゲンダイは7日、海外メディアが自民党総裁選について批判していると報道した。
両院議員総会で行われる今回の総裁選は、地方票つまり党員票が減る。
その点について海外メディアから批判されていることを受け、「日本は世界の笑い者に」と憂いている。
海外メディア「密室総裁選」と辛辣に批判
菅官房長官の圧勝とみられている自民党総裁選で、党員投票が省かれることに「密室選挙」との批判が上がる。一国のトップを決める選挙が裏で談合では話にならないが、海外メディアからも「おかしい」と疑問が噴出している。
最も辛辣なのは米紙ワシントン・ポストだ。〈日本の次期首相の選択は、年老いた少数の男たちの手に委ねられている〉と酷評し、〈首相選出から一般党員を除外している〉と批判。コロンビア大学のジェラルド・カーティス教授の〈(党員投票をしないのは)石破氏の勝利を防ぐための策〉とのコメントまで掲載している。
引用:https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/278357
Japan’s ‘Mr. Fixit,’ Yoshihide Suga, set to succeed Shinzo Abe as leader
引用:ワシントン・ポスト(2020年9月1日)
記事には高千穂大教授の五野井郁夫氏のコメントも記載されている。
「民主主義の考えが根付いている欧米のメディアは、日本の政治を厳しく見ているということです。コロンビア大のカーティス教授は長年、日本政治をウオッチしてきた人物。変わらない日本の『密室政治』を憂えているのでしょう。自民党は総裁選を通じて、世界に『恥』をばらまいている状況。嘆かわしいことです」
引用:https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/278357/2
おそらく欧米から日本を見ると、その政治は異様に見えただろう。世界で最も古い民主主義の歴史を持つ日本が、なぜ「密室総裁選」を行うのか理解し難いはずだ。
確かに日本は世界に恥をばらまいているかもしれない。五野井郁夫氏の指摘は本質を突いている。この鋭い視点は、日本の政治について考えさせられる指摘だ。
五野井郁夫氏といえば先日、白井聡氏の松任谷由実さんに対する侮辱発言について、擁護した数少ない論客だ。
白井さんならちゃんとこういう声明出せると思ってたから安心したよ。どうやらわれわれはさ、一緒に研究会やっていた頃のようなああいう言葉遣いが許される立場や年齢じゃなくなってきたってことさね。まあお互い気をつけつつ頑張ろう。https://t.co/2pdu9MuyiJ
— Ikuo Gonoï (@gonoi) September 1, 2020

五野井氏のような左派論客は非常に頼れる存在だ。白井聡氏も含め、こういった期待の左派が自由に発言や論評を展開することで、日本の在り方は変わる。現状の日本を破壊して新たな国家を作るためには、左翼の躍進が必須だ。
安倍を擁護する人間は叩かれて当然。左翼の未来は白井氏や五野井氏のような人間に託すべきだろう。
党員投票を蔑ろにする政党に未来なし
日刊ゲンダイが取り上げたように、海外メディアの批判は真摯に受け止めるべきだろう。党員票が激減する両院議員総会では、自民党全体の総意として認識されるとは思えない。
ましてや次の内閣総理大臣であり、政権を担う人物だ。党員票を蔑ろにする政党が、国民の支持を得たと評価するのは非常に厳しいはず。納得はできない。
ちなみに立憲民主党と国民民主党の合流新党でも、代表選が行われる。立憲民主党から枝野幸男氏、国民民主党から泉健太氏が立候補している。
投票は合流に参加した149人の国会議員だけに投票権が与えられている。各党の党員やサポーターに投票権は与えられていない。つまり自民党総裁選よりも、合流新党のほうが党員らによる意思は反映されないということだ。
ではなぜ、自民党総裁選ばかり批判されているのか?
それは現状を踏まえると次期総裁はすなわち次期総理を意味するため、総裁選のほうが民意を反映させるべきと考えられているからだ。
合流新党も代表選とはいえ、支持率一桁台の野党が集まっただけという見方がある。現に世論調査でも「合流新党に期待する」は少数派だ。むしろ改革中道を目指す”玉木新党”のほうが期待値は高いかもしれない。
興味のない政党に批判は集まらない。確かにそうかもしれないが、支持率一桁台の中で「野党第一党」を目指している、合流新党のような健気な政党を応援するべきではないだろうか。
党員やサポーターの投票権がゼロの合流新党よりも、各党連代表による地方票141票が認められている自民党総裁選のほうを批判する。一見ダブスタと思われるが、左翼の論調としては通常運転だ。何も問題ではない。
党員投票を蔑ろにする自民党は必ず信用を失うはずだ。反安倍界隈はそう信じている。自民党は近々、合流新党の発足に恐れを成すだろう。