政治

高市早苗氏 日本国旗損壊罪を説明、他国と比較「外国では自国国旗のほうが刑罰も重い」→保護法益の議論は?

自民党保守系グループ「保守団結の会」の顧問を務める高市早苗議員は27日、自身のホームページで国旗損壊罪について説明した。

先日、外国国章損壊罪と同等の罰則規定で新設を目指す刑法改正案が高市氏から提出されている。

高市議員はコラムで他国の例を出して「諸外国では自国国旗のほうが刑罰は重い」と指摘、いずれの国旗も平等に尊重して扱われるべきであると述べた。

日本国旗損壊等の罪を新設する『刑法改正案』の再提出に向けて

 日本の『刑法』では、下記の通り、第92条で「外国の国旗損壊等」は刑罰の対象とされている一方、「日本の国旗損壊等」については何の規定もありません。
≪刑法 第92条≫
「外国に対して侮辱を加える目的で、その国の国旗その他の国章を損壊し、除去し、又は汚損した者は、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する」
 他方、諸外国では、日本と正反対で、「自国の国旗旗損壊等」に対する刑罰の方が、「他国の国旗損壊等」に対する刑罰よりも重くなっています。
 フランス、アメリカ、中国では、「他国の国旗損壊等」については規定が無く、日本の『刑法』とは全く真逆です。
(中略)
 更に、中国では、昨年(2020年)、「上下を逆に掲揚するなど国旗の尊厳を損なう形での掲揚・使用の禁止」、「国旗の廃棄に関する制限(国の規則に基づく回収・処分)」等に関する『国旗法』の改正が行われました。
 日本が、諸外国の法制度と正反対に、「自国の国旗損壊等」については刑罰規定が無く、「外国の国旗損壊等」については刑罰を設けている理由ですが、奥野信亮法務部会長が法務省刑事局に確認して下さったところ、「敗戦国なので、このような形になり、そのままになっている」ということだったそうです。
 私は、日本の国旗であれ、外国の国旗であれ、損壊等の行為は、「国旗が象徴する国家の存立基盤・国家作用を損なうもの」であり、「国旗に対して多くの国民が抱く尊重の念を害するもの」だと考えます。
 いずれの国旗も、平等に、尊重して扱われるべきです。
引用:https://www.sanae.gr.jp/column_detail1293.html

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高市早苗氏、日本国旗損壊罪を解説「外国では自国国旗のほうが刑罰は重い」

自民党の高市早苗議員は自身のコラムを更新し、国旗損壊罪の新設について解説した。諸外国で自国の国旗についてどのような刑法が適用されているのか、以下のような例を提示している。

≪フランス:刑法典≫
 〇自国の国旗:「7500ユーロの罰金(公的機関が開催するイベント等における国旗侮辱行為)、6カ月の禁錮と7500ユーロの罰金の併科(集団で行った場合)」
 ●外国の国旗:規定無し
≪ドイツ:刑法典≫
 〇自国の国旗:「3年以下の懲役又は罰金」
 ●外国の国旗:「2年以下の懲役又は罰金」
≪イタリア:刑法≫
 〇自国の国旗:「2年以下の懲役(公的かつ故意の国旗の破壊・汚損)、1000ユーロ以上5000ユーロ以下の罰金(国旗侮辱)」
 ●外国の国旗:「100ユーロ以上1000ユーロ以下の罰金」
≪アメリカ:国旗保護法≫
 〇自国の国旗:「罰金又は1年以内の禁固、又はその両方」
 ●外国の国旗:規定無し
≪韓国:刑法≫
 〇自国の国旗:「5年以下の懲役又は禁錮、10年以下の資格停止又は700万ウォン以下の罰金」
 ●外国の国旗:「2年以下の懲役若しくは禁錮又は300万ウォン以下の罰金」
≪中国:刑法≫
 ○自国の国旗:「3年以下の懲役、拘留、保護観察、又は政治的権利の剥奪」
 ●外国の国旗:規定無し
引用:https://www.sanae.gr.jp/column_detail1293.html

日本の刑法第92条「外国国章損壊罪」における保護法益は「国家の対外的地位(争いあり)」となっている。

先述の関連記事でも紹介しているが、外国国旗に関しては「国際紛争の火種となり、外交問題にまで発展する可能性があり、ひいては日本の対外的安全と国際関係的地位を危うくする」と日弁連が解説している。

しかし、日章旗を損壊しても日本である限り紛争は発生しないことから、このような保護法益は存在しないとのこと。

そこで高市早苗氏は保護法益を新たに制定すべく、「国旗が象徴する国家の存立基盤・国家作用を損なう」「国旗に対して多くの国民が抱く尊重の念を害する」としたのだろうか。(個人的見解)

日本の国旗であれ、外国の国旗であれ、損壊等の行為は、「国旗が象徴する国家の存立基盤・国家作用を損なうもの」であり、「国旗に対して多くの国民が抱く尊重の念を害するもの」

国家の象徴でもあり、国家的な弔意を示すときにも掲揚される国旗には、世界等しく尊敬の念が抱かれている。この点で自国と外国の差もなく国旗は平等に尊重される意味でも、確かに自国の国旗に罰則が適用されていない日本の現状は特殊だ。

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いずれの国旗も平等に尊重して扱われるべき→保護法益は?

高市早苗議員が要望した今回の刑法改正案だが、「国旗損壊罪」の成立に向けて注目すべきポイントは「保護法益」がどうなるかだろう。外国国章損壊罪と同じ保護法益は適用できないため、法案を成立させるためには新たな保護法益を考えるしかない。

高市氏を含む改正法案に携わった議員たちも、おそらく日本国旗損壊罪の保護法益について議論してきただろう。外国国章損壊罪のような保護法益が適用されないため、そこは十分に準備している可能性は高い。

・「国旗が象徴する国家の存立基盤・国家作用を損なう」
・「国旗に対して多くの国民が抱く尊重の念を害する」

この観点から保護法益をどう明文化させていくのか、法案提出後に引き続き注目していきたい。

ちなみに韓国の刑法で制定されている「第3章 国旗に関する罪」の保護法益は、「国の権威と対外体面を守る法益〜」と書かれている。シンプルに「国家の名誉」を守る目的となっているようだ。
国旗に関する罪より)

とにかく当サイトで主張しておきたいことは、今は新型コロナウイルスの感染拡大や国民生活の補償など、議論すべきテーマが山ほどあるのだ。ところが、諸外国とほぼ同様に自国国旗を守ろうとするこんな法案を今国会で提出しようとするなど、高市議員は何を考えているのか。

国全体が苦しんでいる中、日章旗も外国国旗と同等に扱われるべきとする法案で議論をダラダラと長引かせるわけにはいかない。日本国旗損壊罪などさっさと成立させてしまえばいい、時間が余ればコロナ対策やろう。

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